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RGB - NTSC 相互変換表



簡単な使い方と解説




MS EXCELのシートになっております。

 シート内にある程度のデータ解説 および コメントが有ります。
一部分こちらのドキュメントと重複する部分が有りますが、そちらも参照してください。

使用上の注意


◎ この変換表を使用するためには、MS EXCEL(EXCEL95 以降)が必要です。
マクロを使用しているため互換ソフトでの動作は保証できません。

◎ 「ソルバー」 「VBA」 「VBA関数」 のアドインを使用しています。
そのため、EXCELをデフォル状態でインストールなさっている場合は一部の機能が使用できない場合が有ります。 その際はEXCELのインストーラを使用して上記のアドインをインストールしてご使用ください。

 インストールされているのにアドインの機能が使用できない場合は、アドインが有効になっていない可能性が有ります。その場合は、メニューバーから「ツール」>「アドイン」と 選択して目的のアドインを有効になるようにチェックボックスにマークを入れてください。

◎ この変換表は、無償で提供されます。使用に際して対価を支払う必要はありません。
また、内容に関しては有用であると考えますが、内容の正確さに対する保証は行われません。
 私「ねこまたや」は、このデータおよび計算式を使用した結果にたいして何の保証も行いません。この、データおよび計算式の使用は使用者自身の責任に置いて行われるものとします。

◎ この変換表の著作権は、私「ねこまたや」にあります。この表の使用および再配布に対する制限は行いませんが、この表そのものを販売して利益を得る行為は禁止させていただきます。改変されたシートを配布する際はオリジナルに対する変更を明記して下さい。また、再配布の際はこの著作権表記を含むすべての付属ドキュメントをともに配布してください。

この変換表について


 この変換表は、主にコンピュータで利用されるデバイスRGB色空間とSMPTE 170Mで規定されるNTSCビデオ信号の色空間を相互変換するための計算表です。

 変換表内には、変換計算のための「入力デバイスプロファイル」、および「出力デバイスプロファイル」を保存する領域が設けてあります。
 デバイスRGBを入力にする場合、その色空間には「入力デバイスプロファイル」が、また 出力にする場合には「出力デバイスプロファイル」が適用されます。
適宜、セレクタで切り換えてご使用下さい。

なお、中間計算の都合で、デバイスプロファイルは各ページごとではなくシート全体ですべて同じプロファイルを参照しています。
たとえばあるページで、入力プロファイルの切り替えを行うと、シート内の他のすべてのページで入力プロファイルの変更が行われます。
同時に複数のプロファイルに対する計算が必要な場合は、シート全体を複製して作業を行ってください。(その際はシートの名前を変更してください。MS-EXCELの制限でパスが違っていても同名のシートを同時に開く事は出来ません。)


 市販されている多くのパソコン用ビデオ信号出力ボードは、色空間の変換を行って「いない」ようです。その場合は、入出力プロファイルをNTSC信号と同じ色空間に置いてください。
NTSC信号の色空間のデバイスプロファイルは、以下のようになります。
(初期値です)


白色点色度座標:D65
RGB三原色点:SMPTE-C
L-V変換:SMPTE 170M



各ページの簡単な解説


表紙

扉です。
注意書きがありますので読んでおいてください。

SMPTEカラーバー

計算式の応用サンプルです。
テンプレートを使用して、SMPTEカラーバーをデバイスRGB空間へ変換した場合のそれぞれのカラーチップのRGB値を計算してあります。

余談ですが、この表からは「きちんとしたSMPTEカラーバーは、一般的な民生デバイスを使用する限り、デバイスRGBでは表現できない」ことがわかります。

通常使用できるどのマッピングを使用しても、SMPTEで規定されている「 輝度 0 クロマ振幅 20 」に相当する デバイスRGBの値は、RGBいずれかにマイナスの値が含まれてしまうのです。


NTSC > RGB


NTSC > RGB 計算式テンプレートです。

NTSC信号の値
マッピングの種類
NTSCエンコードのタイプ
変換先RGB空間のデバイスプロファイル

を入力すると NTSC信号に相当する デバイスRGB値を計算します。

NTSC信号の値は以下のいずれかのセットで入力できます。

Y,I,Q
Y,R-Y,B-Y
R(L),G(L),B(L) γ補正前
R(V),G(V),B(V) γ補正済
Y,Cr,Cb (ITU-R 601 に基づく減算係数付き色差信号)

テンプレート上で赤い文字になっているセルが 入力可能なセル です。
必要な行をコピーして空欄に張り付けてご使用下さい。

RGB > NTSC


RGB > NTSC 計算式テンプレートです。

デバイスRGB値
マッピングの種類
NTSCエンコードのタイプ
変換元RGB空間のデバイスプロファイル

を入力すると RGB値に相当する NTSC信号の値を計算します。


テンプレート上で赤い文字になっているセルが 入力可能なセル です。
必要な行をコピーして空欄に張り付けてご使用下さい。

色空間汎用変換表


各種色空間の値を他の色空間に変換する計算表です。
左側の1ブロックが入力側、その右側が入力値を他の空間に変換したときの値になります。
変換式は最も単純なものを採用してあります。
これはフォトショップ等で変換を行う際の「絶対色域を保持」に相当します。
数値の丸め込みや、色域の相対評価等は行っていません。、デバイスで、表示不可能な数値が算出されることが多々あります。(RGB にマイナスの数値が出たりします)そのため計算結果は実用的でない場合もありますのでその点ご了承下さい。

中間の計算途中の値は、非表示になっていますので、必要ならばシート全体を選択して メニューから再表示を選んでください。

全体を表示して左から順に右の方向へみてゆくと計算の過程がわかります。
すべての色値はいったんCIE-XYZ表色系に変換されて、その値から他の値に変換されるようになっています。

このページにNTSC信号の表示がありますが、前出のテンプレートページの計算と違って信号マッピングが、「変換なし」に固定されています。このページの変換結果は参考程度にとどめておいてください。


デバイスプロファイルの指定

入力側からXYZ表色系への変換の際に使用されるパラメータが入力プロファイルです。
左上にあるエリアが入力プロファイル用のセレクタになっています。

XYZ表色系から出力系への変換の際に使用されるパラメータが出力プロファイルです。
出力値の「CIE-L*a*b*〜L*u*v*」あたりの上にあるエリアが出力プロファイル用のセレクタになっています。

それぞれのセレクタの構成は同じで、以下の4つのパラメータが指定できます。

基準白色光名称
「白色点色度座標」とも呼ばれます。測定の基準になる光に名前をつけたものです。セレクタには、同名で後ろに「X10Y10Z10」を付加した物があります。付加されていないものが2度視野XYZ 付加されてたものが10度視野XYZに基づくものです。フォトショップのモニタ設定では「白色点(色温度)」という名前で設定できます。
色彩学で言う「イルミナント」に相当します。(うーん、語弊がある)

RGB三原色点座標
デバイスRGBのみに影響するパラメータです。
各デバイスRGBの原色点をxy座標で与えたものです。フォトショップでは、「RGB 色度座標」と表記されています。

L-V 変換
測光量とデバイス依存値の関係を表すパラメータです。一般的には「デバイスガンマ」として知られていますが、ここでは「デバイスガンマ特性」に「暗部の補正」と「負領域の拡張」を含んだ式になっています。一般的な「γ補正」と同等の結果が必要な場合は、セレクタ上で「simple Gamma」を選択して。「省略時ガンマ係数」でガンマ係数を指定してください。

省略時ガンマ係数
上の「L-V 変換」で「simple gamma」を選択したときの、ガンマ係数指定です。スライダーを使用して値を指定して下さい。


基礎データ・中間計算値


指定されたデバイスプロファイルのパラメータから、計算に必要な中間データを算出して置いてあります。このシートの変換計算式は、計算に必要なデータをこのページで参照しています。このページのデータは不用意に書き換えないようにしてください。

LV変換ライブラリ


このシートには、各デバイスプロファイルで参照するLV変換のパラメータセットが置いてあります。
パラメータセットには、代表的なデバイスのパラメータを格納してあります。
使用するパラメータがドロップダウンリストにない場合はカスタム欄を書き変えてご使用下さい。

変換計算式は、計算に必要なデータをこのページで参照しています。このページのデータは不用意に書き換えないようにしてください。白いセルが書き換え可能なセルです。

パラメータの意味については、シート内の解説を御覧下さい。


基礎刺激一覧表


このシートには、各デバイスプロファイルで参照する基礎刺激のパラメータセットが置いてあります。
パラメータセットには、代表的なデバイスのパラメータを格納してあります。
使用するパラメータがドロップダウンリストにない場合はカスタム欄を書き変えてご使用下さい。

変換計算式は、計算に必要なデータをこのページで参照しています。このページのデータは不用意に書き換えないようにしてください。白いセルが書き換え可能なセルです。


基礎部品集


この変換表で使用してある 各種計算式やドロップダウンリスト 等の部品を格納してあります。各自の目的に従って 新しい変換表を作るときなどに、このページからコピーして使用してください。

NTSC基礎データ


このシートには、NTSC信号で使用されるデバイスプロファイルのパラメータセットが置いてあります。
パラメータセットは、SMPTE 170M で規定されていデータを使用していますが、規格を厳密に適用すると日本で使用している信号と異なる部分があるため 日本式の計算に必要なパラメータを併記してドロップダウンリストで切り替えができるようにしてあります。

マッピングとエンコーディングの差異を無視すると(無視しちゃダメですけど)NTSC信号のデバイスプロファイルは 

白色点色度座標:D65
RGB三原色点:SMPTE-C
L-V変換:SMPTE 170M

と、いう事になります。もしも、旧NTSC規格のデバイスプロファイルが必要な場合は、入力または出力デバイスプロファイルに

白色点色度座標:C
RGB三原色点:NTSC-1953
L-V変換:oldNTSC

を選択して、色空間汎用変換表 をご利用下さい。


変換計算式は、計算に必要なデータをこのページで参照しています。このページのデータは不用意に書き換えないようにしてください。


デバイスRGB、ビデオ信号間のマッピング


このシートには、デバイスRGB - NTSC信号間のマッピングに使用されるパラメータセットが置いてあります。
パラメータセットは、ITU-R 601 をはじめ代表的な変換のパラメータをドロップダウンリストで切り替えができるようにしてあります。使用したいマッピングがない場合は、カスタム欄を書き換えてご使用下さい。

変換計算式は、計算に必要なデータをこのページで参照しています。このページのデータは不用意に書き換えないようにしてください。


マッピングについて


ビデオ信号をパソコン(計算機)で扱うためにはデジタルデータに変換する必要が有ります。

このビデオ信号のデジタル変換をここでは「マッピング(または 量子化)」と呼ぶ事にします。 このマッピングには、データを扱う目的や、対象となるビデオ環境の違いによって異なる何種類かの方式があります。このシートでは、良く使用されている(と思われる)方式をあらかじめ何種類か用意して、名前をつけて選択できるようにしてあります。
また、あらかじめ用意されていない方式に対応するために、パラメータの格納場所にはカスタム欄をもうけてあります。

あらかじめ準備してあるマッピングについてかんたんな説明をします。
それぞれのマッピングは、計算を単純化するために、ビデオ信号の基礎になるガンマ補正済RGB信号をそれぞれに対応するデバイスRGBに対してマッピングするものとします。ビデオ信号を扱う上では、輝度・色差信号のセットで考えるのが普通ですが。デバイスRGBとの相互変換のためこのようにしてあります。

変換なし

ガンマ補正なし
ビデオ信号 → デバイスRGB
IRE 0 → 0 (00xH)
IRE 100 → 255 (FFxH)

ビデオ信号の黒レベル(カットオフレベル)から白レベルまでをデバイスRGBの0から255までにリニアに割り当てます。規定としてはNTSC空間とほぼ同じガンマ特性を持っている(ことになっている)Windows系のデバイスでは妥当と思われるマッピングです。

反転


ガンマ補正なし
ビデオ信号 → デバイスRGB
IRE 0 → 255 (FFxH)
IRE 100 → 0 (00xH)

さてこれは・・ 使い道があるかどうかはわかりませんが、極端なマッピングの例として揚げておきます。数値の指定でこのようなマッピングも可能です。
上述の「変換なし」のネガポジ反転です。

ITU-R 601


ガンマ補正なし
ビデオ信号 → デバイスRGB
IRE  0 → 16 (10xH)
IRE 100 → 235 (EBxH)

ビデオ信号を量子化して、計算機で扱えるデータに変換する規格には、ITU-R 601(旧 CCIR 601)が、あります。

ただしこの規格は、「ビデオの記録・再生」のための規格であり、パソコン用の画像フォーマットとの変換の規格ではありません。
たとえば、ITU-R 601 にしたがってRGB(V)ビデオ信号を、8ビット深度で量子化して、これを「そのまま画像ファイルのデータの値である」としてしまうと、
「ちょっとやなかんじ」
ですが、もともと、デジタルビデオ機器のための規格なので仕方ありません。 デジタルビデオ機器の信号を記録加工する際にビット丸め誤差を気にしないで済むのでデジタルビデオ機器との親和性の高いマッピングです。

setup 7.5

ガンマ補正なし
ビデオ信号 → デバイスRGB
IRE 7.5 → 0 (00xH)
IRE 100 → 255 (FFxH)

アメリカで使用される(本家の)NTSC信号は、なんだかいろいろな経緯のもとに7.5%のセットアップ付きで運用されています。
これらの機器を扱う場合は、黒レベル(カットオフレベル)が、IRE 7.5となります。これをデバイスRGBに割りつけたものが、このマッピングです。
後述しますが、このマッピングを使用する場合は、エンコーディングタイプにもご注意下さい。たぶん「us」タイプのエンコーディングを設定する必要があります。

AppleFW

ガンマ補正1.8/2.2= 0.8181...
ビデオ信号 → デバイスRGB
IRE 0 → 0 (00xH)
IRE 100 → 255 (FFxH)

MacOSXに実装されているappleFireWireコーデックを使用してビデオ信号を画像ファイルにキャプチャするとこの様に変換されます。
apple系のデバイスRGBは、公称のガンマ特性が1.8になっているので、標準でこの様な動作をするように設定されているのだと思います。

AplleFW+setup

ガンマ補正1.8/2.2= 0.8181...
ビデオ信号 → デバイスRGB
IRE 7.5 → 0 (00xH)
IRE 100 → 255 (FFxH)

FireWire すなわち DV用のコーデックであるとすると、ITU-R601に従ったマッピングをするはずなので、セットアップが付くのはなにか変なような気がしますが、appleタイプのデバイスRGBとセットアップ付きのビデオとの組み合わせでこのような名前になっています。

後ろ二者のガンマ補正付きのマッピングは、NTSC空間と異なるガンマ特性を持ったデバイスRGB空間に対するマッピングの参考です。

また、セットアップ付きのマッピングは、アメリカで使用されるビデオ信号の量子化に必要な設定です。(輸入機材などはこの設定になっているケースが多いようです)
セットアップ付きの設定を用いる場合は、NTSCエンコードタイプを「us」モードでご使用下さい。

NTSCエンコードタイプ について

この計算表で選択できるオプションに「NTSCエンコードタイプ」があります。
これは、NTSC信号のエンコード・デコードを計算する際のタイプ指定で、「us」および「jp」の2者が選択できます。
SMPTE 170Mに厳密に従ったものが「us」 日本で使用されている規格に沿ってパラメータを修正したものが「jp」タイプになります。この違いは、主に信号配信の際のセットアップの有無によるものです。

セレクタで切り換えて比較してみるとよく分かりますが、輝度信号の違いでだけではなく、クロマ振幅などにも影響を及ぼすパラメータです。ビデオ信号の値に厳密性が求められる場合は設定を間違えないようご注意下さい。

最後に
この変換表、公開予定にしてから、半年以上たってしまいました。
公開用のドキュメントを書いていたら、計算式のミスが、もう 「出てくる、出てくる・・」 つくづく「トホホ」なカンジでした。
大方は、やっつけたと思いますが、まだあるかも・・・(ありそう)

何か変な計算結果が出てきたら、是非教えてください。どうぞよろしくお願いします。


Nekomataya/kiyo 2003
2003.04.28 RGB-NTSC 相互変換表 ねこまたや